「…柚、顔真っ赤」
「小声で言わないでよ!」
しかも小声のまま拓がからかってくるもんだから、私は思わず拓を見上げて声を上げた。
すると、静かに笑う拓の顔が目に映った。
「わりいわりい。こうやって柚に触れてるだけでも嬉しいハズなのにな。俺は常に進化を求めてるから」
「…何言ってるの?」
「現状維持じゃ満足しねえってコト?」
「…もう」
確かに…、夏休みに抱きしめることを許してから、もうかなり経つけど……
それ以上はやっぱりまだ怖いと思う。
いつもの拓の明るい顔じゃない、真剣な顔も緊張しちゃうし、これ以上近付かれたら、自分がどうなってしまうのか分からなくて……、不安になってしまう。
もしかしたら、私達より後に付き合い始めたななっぺやあかねちゃんの方が、先に進んじゃったかもしれない。
でも……私は私だし。
「じゃあ…、今日はこれで我慢すっかな」
「え?」
やっと拓の顔が私の身体から少し離れた…
と思ったら、私の左頬に柔らかい感触を感じた。
それが拓からのキスだと気付くまで、何秒かかっただろう。
拓の唇が触れた頬から、顔中に熱い何かが回っていく。
胸のドキドキも……、一気に高まってしまった。
きっと更に赤くなってしまったと思う私の顔を見つめながら、拓はまたイタズラな笑顔になった。

