「何言ってんの、瀬川?確かにこういう仕事…、瀬川向きではあるけど、瀬川は陸上部の練習もあるでしょ。絶対両立は無理だと思うよ」
「ああーー!忘れてた、陸上……」
「だから私が3組の実行委員に立候補する。私は合唱部だし、たぶん他に誰も手を挙げないと思うから、私で決まりだろうけど」
「ああ…、そーだな。細井なら大丈夫だな……」
拓はななっぺに納得したようにうなずくと、私の前に立って、私の両肩に手を乗せてきた。
「細井がいるから、たぶん大丈夫だ!俺、応援しかできねーけど、柚のこと見守ってっから!」
「ありがとう…、拓」
拓に抱きしめられそうな勢いで近寄られたけど、さすがにここではちょっと……
…と思ったら、ななっぺが拓の制服を勢いよく後ろに引っ張った。
「ちょっと!ココ学校なんですけど!」
「え?細井ー、ちょっとぐらい見逃せよ」
「柚が恥ずかしがってるじゃん。見てるコッチも恥ずかしいし」
「ちぇっ」
「ねえ、あかねちゃんは…?」
やっと拓と普通に会話できる距離に離れて、入口から教室中をキョロキョロしてみるけど、あかねちゃんがいないような…?
「あ〜、馬場?アイツ、またマサと話してんじゃね?」
「うん。最近階段の踊り場でよく話してるよね。まったくどこもラブラブだし…」
「どーせ人のコト言えねーだろ、細井も」
「私は学校でそういうことしないから!」

