引っ込み思案な恋心。-2nd






「でも結果はあなたの勝ちだよ、杉田さん。あなたが昼休みに倒れてから、瀬川はずっとあなたに付きっきりだった。当然リレーにも出てない。瀬川の代わりにそこそこ速い男子が出たけど、やっぱりダメだったよ」



「え…?それで3組が3位ってこと…?」



「…そう。リレーまでは5クラスとも得点がせってたからね。リレーの順位がそのまま総合の順位になったよ。だからあなたのクラスが優勝。思い通りになったじゃない」



「別に私、こんなの望んだわけじゃない…!」



「そうかな?倒れたら瀬川があなたに付きっきりになるって分かってやったんでしょ?」



「それは違うよ。私、本当に……、昼休みからいきなり記憶がなくなって……」



「柚がそんな卑怯な手、使うわけねーだろ!いい加減やめろよ、松沢!!」






私達の会話を聞いていた拓がいきなりパイプ椅子から立ち上がった。





保健室に大きく響いた声。





そして拓のその顔は……、怒りに満ちていた。







「柚はきっと…、松沢にあんなこと言われて、すげー色々考えたんだと思う。それで…たぶんまた寝てなかったんだろ?……前にも柚、寝てなくて倒れたことあったから…」



「え?あ……、そう言えば睡眠時間、短かった気がする……」






昨日の夜色々考えてて、気が付いたら夜中の3時過ぎてたんだよね。





それで慌ててベッドに入った…と思う。






結局3時間ぐらいしか寝てなかったから、昼間の残暑厳しい日差しに耐えられなかったってコトか…。