「ねえ、瀬川。私、杉田さんと話したいんだけど」
「え?柚と?なんで?俺のコト?」
「…うん、まあね。瀬川も聞かないでいたら気持ち悪いだろうから、ココにいてよ。杉田さん…、話せるんでしょ?」
「ああ…。柚、大丈夫か?」
「うん……」
拓の問いかけに視線をそらしたままうなずいたら、松沢さんが拓の隣のパイプ椅子に座ったみたいで、ガタッと音がした。
「杉田さん…、さっき起きたばかりだったらまだ状況分かんないと思うけど、今、体育祭の閉会式が終わったところなの」
「え…?」
私が倒れてる間に、午後の部も全て終わっちゃってたの…?
でも…、拓はここにずっといた。
…ということは、リレーに出てないってこと…?
すると松沢さんは今度は拓に話し始めた。
「昨日、私と杉田さん、瀬川のことで話したんだ」
「え?俺のコト???」
「うん。リレーのことで賭けてたの。瀬川が1位になれなかったら、私は身を引く。だけど1位になったらどんな方法を使ってでも私は瀬川と杉田さんを別れさせる」
「……はっ!?そんなのむちゃくちゃ過ぎるだろ?何言ってんだよ、松沢!!」
「…ふーん。瀬川がこんなに怒るってコトは、杉田さん…、結局瀬川に頼まなかったんだ?」
「頼む…って、俺が1位にならないように…か?」

