「ごめんねー」
「いーよ、いーよ。ラブラブモードで午後から頑張らないとねぇ〜♪」
「余計なこと言わなくていいから、あかねちゃん!」
あかねちゃんにからかわれながらも、何か楽しそうだな…、ななっぺ。
先輩と上手くいってる証拠だね。
先輩と嬉しそうに話しながら人混みの中に消えていったななっぺ達を見送った後、私達は涼しい教室に向かって歩き出した。
「柚は瀬川んトコ行かなくていーの?」
「あ…、うん。拓のクラスの友達のお母さんがPTAの役員で、バザーの券をたくさんもらったからその友達と食べるってメール来てたんだけど…、返すの忘れちゃってたな……」
あかねちゃんに聞かれて、朝に拓が私からのメールの返事がなくて心配していたことを不意に思い出した。
もう体育祭も折り返し地点かぁ…。
運命のリレーの時間も、刻々と近付いているということ。
今更自分の決めた答えを変える気なんてないけど、拓が走り終わった時のことを考えるのは今は少しキツかった。
「はははっ。柚たまに抜けてるからねぇ〜。また勉強してたんでしょー?」
「まあ…」
「確かに瀬川のヤツ、うちのクラスの男子大勢引き連れてバザーの方向に行ってたなぁ〜。『アイス買う』とか興奮してた気が……」
「そうなんだ…、何となく想像はできるけど…」

