「安森先輩、こんな所までどうしたんですか?」
「いや…、奈々ちゃんとお昼食べたくて来たんだけど…、やっぱり2年のエリアは入りにくいね。もしかして、友達と食べる予定だった?」
「え…、そのためにわざわざ……?」
目の前に現れた安森先輩は、確かに目立つほどカッコイイと言えないとは思うけど、ななっぺに向けられた少したれ目の笑顔がとても優しそうに感じた。
「もしかして、ななっぺの彼氏の安森先輩ですか???」
あゆが興味津々の笑顔で安森先輩にそう尋ねると、先輩は少し照れたように頭をかきながら「うん」と答えてくれた。
「3年1組の安森です。奈々ちゃんがお世話になってるみたいで……」
「『奈々ちゃん』だって!何か新鮮ーーっ!」
「からかわないでよ、あゆ」
「…てゆーかさぁ〜、ななっぺ、先輩とお昼食べてくれば???」
「えっ!?」
いきなりあかねちゃんがそう提案してきて、ななっぺは少し驚いたけど、私達は顔を見合わせて笑顔でうなずいた。
「そうだよ。先輩にとっては最後の体育祭なんだし、思い出作ったら?」
「そうそう。わざわざ先輩がココまで来てくれたんだよ?柚もそれでいいよね?」
「うん。せっかく誘ってくれてるんだから、食べてきたらいいと思うよ」
「え…、じゃあ、みんながそこまで言うなら……」
ななっぺは初め照れた感じだったけど、私達が後押ししたら嬉しそうな笑顔を見せてくれた。

