「私…、倉本くんのことは今までも…、これからも、友達以上には見れないと思う。だから…、ごめんなさい!」
「杉田…」
ちゃんと私がこうやって初めから倉本くんに言っていれば、こんなことにならなかったのかもしれない。
曖昧なまま放ってしまったから…
油断していたから…
少しずつ積み重なって、こんな大ごとになってしまったんだ。
私が倉本くんに頭を下げると、何かが優しく私の頭をなでるような感触がした。
「柚…。ごめんな。俺らのケンカなのに、結局柚に出てきてもらっちゃったみたいだな」
「拓……」
ゆっくりと頭を上げて、気配のした方向を見ると、微笑む拓の顔があった。
私の頭にあった拓の手は、そのまま背中に伸びた。
背中に感じる拓の体温が、優しいよ。
「…そこまでハッキリと杉田に振られたら、諦めるしかないな。分かったよ。もう杉田とはムダに連絡取らない。それでいいだろ?」
倉本くんは観念したようにため息をついて、スクっと立ち上がった。
「ああ。今後あれ以上近付いたら、本気で絶交すっからな」
「絶交って…。小学生かよ?ま、いいや。じゃー杉田、これからはホントの友達としてヨロシク」
「うん…」
それでもやっぱり……
ハッキリと振ることで倉本くんを傷つけてしまったことに変わりはない。
倉本くんの少し寂しそうな笑みに、心がチクンと痛んだ。

