引っ込み思案な恋心。-2nd






とりあえずななっぺに謝ってみるけど、取ってつけたような感じがして気持ち悪い。





だけど…、それでもななっぺは私に微笑んでくれた。






「私もコンクール前で忙しかったし、柚のことちゃんと見てあげられなかったから、お互い様だよ。それに柚が一人で悩んでなくて良かった。ちゃんと映美佳に相談してたんだね。それだけで少し安心したかも」



「ななっぺ…」







『何で私にも相談してくれなかったの?』って、絶対言われると思ってたから、優しい言葉に涙が出そうになった。





でも…、感動して泣いてる場合じゃない。





拓と倉本くんがいがみ合ってるのは、私のせいでもあるんだから。







「つまり…、瀬川は柚に気があるとわざわざ知らせて柚に近付いた倉本が気にくわないって思ってるわけでしょ?確かに柚の彼氏からしてみたら感じのいい行為ではないよ」



「ああ…、小谷の言う通りだと思う。俺、友達なら…、そして好きな女なら、ソイツの恋を応援するのが普通だと思ってるから」






やっと重い口を開いた拓は、あえて怒りを隠して倉本くんを諭しているように見えた。





けど、倉本くんは……






「黙って身を引けって言ってんのかよ?俺にはそんなコトできない。そんなに杉田が大事なら、四六時中一緒にいろよ。俺が入り込めないほどに…」



「マサ…?」



「好きな女が彼氏の元を離れて俺の近くにやってきたら、チャンスだと思うのが普通だろ?……拓には分かんねえだろうな。あっさり好きな女を親友に奪われたヤツの気持ちなんて…」



「…私には分かるよ」






そこで声を上げたのは、ななっぺだった。