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「キレーだなぁ…」



「え?何が?」



「桜だよ。俺、登校の時は遅刻ギリギリだからいつも走ってるだろ?こうやってゆっくり歩きながら見るとキレーだな〜って」



「でも今日はギリギリじゃなかったよ?」



「そーだっけ?」






始業式とHRが終わり、あゆと映美佳に「バイバイ」と手を振ってから靴箱に向かうと、すでに拓がそこで待っていた。






そして…、靴を履き替えて、拓の隣で歩き出す。










拓と付き合うようになってから、週に2、3回、一緒に帰っている。





最初のうちは、それまで時々一緒に帰っていた映美佳やあかねちゃんにからかわれてたけど、最近は気を利かせてもらってるみたい。





今日だって、教室から出た瞬間にあかねちゃんが出てきて、「映美佳まだー?」とか言ってたし。。。








「今日はクラスが分かる日だったからな、呑気に桜なんて見てる場合じゃねーだろ」



「拓でも気になってたんだ?さっきの様子だと、全然気になってなさそうだったのに」



「俺さぁ、ココだけの話、柚とクラス離れてすげーショックだったんだぜ?馬場がいたからさっさと教室に行ったけど……あ、家に着いた。カバン置くからちょっと待って」







え…?


そうだったの?





拓もショックだったんだ…。





さっきの様子だと、そんなこと全然気にしてなさそうに見えたから。






でも実はショック受けていてくれたのを知って……ちょっと嬉しいかも。