「フン!」

ギラは、ジャスティンを見下ろし、

「まさか、すべての場所にいくつもりか?」

訊いた。

「冗談を」

ジャスティンは、ギラを見上げ、

「人間は、俺だけじゃない」

軽く睨んだ。

「フン!わかっている!」

ギラは、ジャスティンの横を通り過ぎると、魔物達に撤退の命令を出した。

「こちらこそ、人間の為に…ありがとうございます」

ジャスティンは、ギラの背中に頭を下げた。

「誤解するなよ!ジャスティン!」

ギラは振り返らずに、言葉を続けた。

「人間など、どうでもよい!しかし、やつらは人間を滅ぼした後、この世界のすべてを無にするつもりだ!」

ギラの体が、空中に浮かぶ。

「我々は、人間以外のあらゆる生物の営みを守る!それが、我を創ったライ様の意志だ!」

そこまで言うと、ギラは一瞬で、倉庫から空へと移動した。


「ライの意志か」

ジャスティンは呟くように言うと、カードの通信モードをオンにした。

「全部隊に命じる。敵は、天使!やつらは、我々を滅ぼすつもりだ。民間人を守り、速やかに殲滅しろ!あと、回線を全世界に繋げ!音声だけでいい」

そう命じた後、ジャスティンは一呼吸をおいてから、話し出した。

「市民の皆さん。私は、ジャスティン・ゲイです。今、世界に恐ろしいことが起こっていますが、心配はいりません。私と防衛軍!それに!」

ジャスティンは敢えて、言葉を切り、

「勇者!赤星浩一くんが、やつらを倒します!天使達を!」

人々に伝えた。

ジャスティンが幽閉された頃から、本部以外の防衛軍は不信に思い、何かあると表面は従いながらも、備えていたのだ。

「行くか」

ジャスティンは通信を切ると、次の場所へテレポートした。