「あなたは!」

高坂は、美奈子の体から零れ落ちる砂を確認すると、頭をフル回転させた。

茉莉について、レダに会いに行った時…同伴したサーシャの腕も、攻撃を受けて砂に変わった。

彼女達に何かしらの接点があるとしたら…。

悩む高坂に、美奈子は言った。

「時間がない。あたしの女神の力を渡せるチャンスは、今だけだ」

「し、しかし…」

高坂は躊躇っていた。

アルテミアのコピー人形と戦った時に共闘したが、美奈子のことを知らなすぎた。

「ありがとうございます!」

そんな中、躊躇うことなく、輝は美奈子の銃を貰う為に、前に出た。

「ひ、輝!」

緑が慌てて、後ろから輝の首根っこを掴んだ。

「フッ」

美奈子は笑うと、2人のそばを通りすぎ、高坂の前に立った。

「あたしは、演劇部の部長をしていてな。少しくらいは、人を見る目があると思う」

美奈子は、装飾銃を高坂に差し出し、微笑んだ。

「貰ってくれ。君の為ではなく、守るべき人々の為に」

それが、美奈子の最後の言葉になった。

「!?」

一瞬で砂と化すと、高坂の足下に崩れ落ちた。

そして、高坂の手には、13の銃口がついた白い装飾銃が残っていた。

「守るべき…人々の為に」

高坂は、掴んでしまった銃に目を落とした。

「砂の世界」

突然、前から声がした為、高坂は思わず顔を上げた。

「さやか…」

そこにいたのは、如月さやかだった。

さやかは、砂の前でしゃがむと、手で砂をすくった。

「噂で聞いたことがあったの。死んだ後、この世に未練を持ったものがたどり着く世界」

「砂の…世界?だったら、彼女達は」

「あくまでも、噂よ。死んでからの世界なんて、誰も知らないから」

さやかは、更々と指の間から零れ落ちる砂を見つめながら、笑った。

「…」

高坂は風に乗り、少しずつ消えていく砂をしばし眺めてしまった。