「終末を描いているらしいが、興味深いよ。なぜかって?なぜだが、わかるだろ?」

「…」

「この絵に、人間はいない!最後の戦いは、天使と悪魔でつけられる!人間は、いらないのさ」

楽しそうなジャスティスと違い、ディーンの顔に表情はない。

そんなディーンを見て、ジャスティスは手を叩いた。

「そうだったね!君は、僕達とは違ったんだよね。あははは!」

馬鹿笑いした後、ジャスティスはディーンに近付き、耳打ちをした。

「君は…もと悪魔側の存在だったね」

その言葉に、ディーンは鼻を少し鳴らした。

「フン…」

「その為、君は我々と違い、人間の赤子に憑依し、そのまま腹の中から生まれることが可能!故に…我々天使の尖兵として働き、仲間を増やす…はずだが?」

ここで初めて、ジャスティスの目付きが変わった。

それを察したのか…ディーンは口を開いた。

「魔王ライがいた為に、容易には動けなかった…。彼が一時期、動けなかった時に…闇の女神の動きに合わせて、最初の天使を召喚させ、計画を遂行するはずだった…。しかし!」

ここで、ディーンの殺気が増した。

「天使達は、使命を忘れてしまった」

逆に、ジャスティスは笑っていた。

「ああ…。彼女達は、人に興味を持ってしまった」

ディーンは、唇を噛み締めた。

「興味とは、ニュアンスが違いますね」

ジャスティスは再び、ディーンの耳元に口を近付けた。

そして――。

「愛してしまった」

笑いながら、ジャスティスは呟くように言った。

「!?」

目を見開くディーンから、ジャスティスは離れた。

「愛!いいですね!天使的には、最高です!あははは!」

「ジャスティス!」

ディーンは、怒りの形相で振り返った。

「しかし、計画は計画です!人間を滅ぼし、悪魔を絶滅させる!それが、我々の使命!」

それだけ言うと、ジャスティスの体が消えていく。

「同士は、私が増やしましょう」