「終わったのか?」

何の変化も訪れない静かな校内に、高坂達…学園情報部は集結していた。

綾瀬太陽と九鬼の動きを見て、何かが起こったことは事実だった。

「そのようです」

「!?」

突然、後ろから声がした為、高坂達が振り返ると、そこに相原理香子と中島がいた。

「この世界の神が、力を失いました。残念なことに…」

睫毛を落とす理香子を見て、高坂は視線を外して、口を開いた。

「神ってやつは、必要なんですか?」

「え」

思いがけない高坂の言葉に、理香子は顔を上げた。

そばにいた中小路緑や、犬上輝も思わず、高坂の顔を見た。

「この世界に、神はいらないじゃないかと思っただけです。人間が支配し、人間の天敵の数が少ない世界で…人間に対しての神はいりますか?神は、弱者が救いを求める存在。だとしたら、人間にはいらない。神がいるのは、その下の動物達」

高坂は、真上にある満月を見上げ、

「それに、神はいるとしたら1人のはず。それなのに、乱雑に神は増えている。お布施や寄付という名の金を生んでね。俺には、神と言われるものが、垢まみれに見える」

顔をしかめた。

そんな高坂に、理香子は微笑んだ。

「あなたは、純粋なのですね」

「え」

思いがけない理香子の言葉に、高坂は思わず彼女の顔を見た。

理香子は月を見上げ、

「もし神がいなくても、人間は神を。幻の存在でも、神は神。なくなることはありません。だけど、神がこの世界を潰してはいけないのです。あくまでも、何の干渉をせずに、ただ存在することが神なのです」

そこまで言うと、自嘲気味に笑い、

「今回のことで、転生する前の自分の子孫は、力を失ったようです。もう何もできないでしょう」

ゆっくりと顎を引くと、そっと目を閉じた。

「その言い方…。あんた、首謀者を知っていたな」

高坂は、理香子を睨んだ。

「!」

高坂の指摘に、息を飲む理香子。