「真弓…」

戦いの余韻に浸る暇もなく、カレンが話し出した。

「お前が、帰ってくるのを待っていた。この世界は、富国強兵の名のもとに、すべての民間人が、軍人になるべく徴兵された」

「え」

「いや、すべてではないな」

カレンは振り返ると、倒れているレーンに目をやり、

「ブルーアイズ(青い目)以外の人間は、兵士として戦うことを義務付けされた」

唇を噛み締めた。

「…」

九鬼は無言で、目を見開いた。

「やつらの理想郷の為にな!」

カレンは、レーンを睨み付けた後、九鬼に目をやり、

「そんなふざけたことを止めさすには、やつらに捕まっているジャスティン・ゲイを解放しなければいけない。それに!やつらは、カードシステムを乗っ取り…人々のライフラインも握っている」

カレンは歩き出した。

九鬼も続く。

「あたし1人では限界がある。だけど、真弓となら…まだ可能性がある」

カレンは前方を睨みながら、歩き続けた。

「何があったの?もっと詳しく教えてほしい」

「歩きながら、説明する」

2人は、大月学園を後にした。




「フッ」

2人が去った後、倒れていたレーンは平然と立ち上がった。

「まずは、予定通り」

レーンは鎧を外すと、身軽になった。

一応、全身のダメージを確認した後、九鬼達とは反対方向に歩き出した。

「しかし…それでも、どうなるのか…」

三体の鎧は自ら砂になると、レーンの体に巻き付き…数秒後、純白のコートになった。

「!?」

正門に向かって歩いている途中で、岩と岩の間から生えている花を見つけた。

その名も知らぬ花に、レーンは微笑んだ。

「花は…どれも美しい」

それだけ言うと、倒れている兵士を残して、大月学園から消えた。