「ここは、防衛軍の駐屯地。まだ防衛軍に入っていないあなたが、勝手に出入りしてはいけない場所」

美和子が出てきた入口から、続々と軍人が出てきた。

九鬼の後ろからも、人が集まってきた。

「他の生徒は、どうなった!」

九鬼は、前に立つ美和子に訊いた。

「元々は、勇者育成の為の学校。即戦力になりそうな者は、振り分けられたわ」

「何!」

九鬼の叫びに、周りを囲む軍人達は、魔力銃を一斉に向けた。

「わからない人ね」

美和子はため息をつくと、九鬼の目を見て、首を横に振った。

そして、空を見上げた。

「でしたら、これでわかります」

美和子は顎で、九鬼を促した。

「うん?」

周囲に気を配りながら、空を見上げた九鬼は…言葉を失った。

「!!」

そこには、黒い月が浮かんでいた。

「ダークムーン。かつて、闇の女神復活の際にも見られたらしいけど、今回は違う!」

美和子は、月から視線を九鬼に向けた。

一瞬だが、瞳孔が開いているように見えた。

「これは、我が防衛軍の新兵器!月の光をもとにして、すべての人に降り注ぎ!力を与える!アハハハ!」

美和子は背中を反りながら、笑いだした。

「富国強兵!人類すべてが、兵士になり!魔物達から、この世界のすべての覇権を奪う!」





「それが、我々のやり方だ」

四国にある防衛軍の本部に入ったヤーンは、笑った。




「クッ!」

九鬼は顔をしかめると、構えた。

「乙女ブラック!九鬼真弓よ…。あんたは、いい闇の尖兵になるよ」

美和子がにやりと笑うと、周りを囲む軍人が、照準を九鬼に合わせた。

オウパーツを発動させて、塵にできるが…相手は人間である。

九鬼は、スカートのポケットからあるものを取り出した。

そして、叫んだ。

「装着!」