でも,油断できないのである。


何時倒れるか解からないし,完治の見込みすらない病気である。


これからは,度々病院へ行って輸血も受けなければ行けないし,食事も制限されてくるから,いずれ本人にも病名を明かさなければ行けないし,その病気と共に戦って行かなければいけないのである。


しかし,本人が病名を知った時のショックは大きいに決まっているし,それを聞いて本人が戦って行こうと言う強い意思が持てるかどうかも心配である。


そんな事を考えながら,ボーっとしていたら,


『なぁ,うちってほんまに貧血の病気?癌とちゃうやろか?』


『なにアホみたいな事言ってるんな。

香織は人よりちょっと血が少ないだけやで。

だけん,増血剤を打っとるんやがな。』


『そやなぁ。

うちが癌になるわけないがな。』


納得してくれたみたいだが,実際問題かなりビビッテいた。


はっきり言って血液の癌みたいなものだからである。