僕達は中学校に進み、新学期が始まった。


彼女は女優に成る為の第1歩として,演劇部に入部した。


毎日放課後になると,屋上で発声練習をする彼女が,吹奏楽部の部室(音楽室)から見えた。


その為にと言う訳では無いが、僕は吹奏楽部に入部した。


パートはクラリネットになった。


取り合えず僕も、最初はマウスピースと言う口でくわえる部分だけで、音を出す練習を毎日やらされた。


練習が終って演劇部の部室を覗いたら,ちょうど練習が終ってミーティングをしている最中であった。


それが終ってから一緒に帰ろうとしたら,演劇部の人達に冷やかされた。


別に気にもしなかったが,僕達は何時も一緒にいるから皆付き合っていると思っていたのである。


でも,その時はまだ、とっても仲の良い友達と言う関係であって,交際していると言う感ではなかった。


だが,冷やかされてからと言うもの,変に意識し始めてしまった。


彼女の方も,同じである。


急によそよそしくなったのである。


在る日の放課後,彼女の方から話しが有るから帰り待っていてくれと言われた。



練習が終って,演劇部の部室の前で待っていたら,練習を終えた彼女が出て来た。


僕達は黙ったままバス停までの道のりを歩いた。


何となくは判っていたが,彼女の方から口を開いた。