「明?」
俺が顔を覗きこむと明は小さく震えていた。
「リサちゃん……あたしのこと嫌いなんだって……だから近くに行かない方がいいの」
「えぇ? リサに何言われたんだよ」
「あたしがお金持ちだって自慢してくる……って」
「なんだよ、それ! 意味わかんねぇー」
俺は本当に意味がわからなかった。
幼稚園は私服で、確かに明はいつもブランドものの服を着ていた。
でもそれは自慢とかそういうんじゃなくて、明の母親の友達がデザインしているブランドだから。
大人の付き合いというものだろうし、母親の趣味なのかもしれない。
でもそれを自慢だと思う奴もいたらしい。

