「哲太……?」 明の顔を見なくてもわかる。 きっと腕の中にいる明は目を丸くしている。 急に俺がこんなことしたんだから……驚かないはずがない。 「明、無理しなくていいから」 「な……何言って……」 「なんかあったんだろ? 言ってみろ」 「て……てった……」 明からはグラウンドの匂いがした。 俺よりわずかばかり、小さな体が震えだす。