「いらっしゃい! 百円で二回までね!!」

威勢のいいおじさんに、ちょっと引き気味のあたし。

それに比べ、悠斗はおじさんに普通に百円を渡した。

「どれがいい?」

「えっと……あれ」

いきなり聞かれた質問に、一番身近にあった、ピンク色のヨーヨーをチョイスした。

ヨーヨーが入っているプールの前にしゃがんで、ピンクのヨーヨーに針をかける。
周りにある他のヨーヨーが邪魔なのか、悠斗の針は、ピンクのヨーヨーを少し持ち上げただけで、プツンと切れた。

「……っあ」

「黙って」

悠斗はあたしを制して、再度ヨーヨー釣りに取り掛かる。

ヨーヨーはまたも引っ掛かったけど、やっぱり少し持ち上がっただけで、切れた。

「悠斗、もういいよ?」

財布から百円を取り出そうとする悠斗を止めに入ると、悠斗は『いいから』と言っておじさんにまた百円を渡した。

3回目。
1回目より取りやすくなったヨーヨーに針をかけると、今度はすんなりと持ち上がった。

釣れますように。

目をギュッと閉じて祈っていると、おじさんの

「おめでとう」

と、周りから拍手が聞こえた。

「緩奈?」

不意に呼ばれた名前に目を開けると、あたしの目の前には、ヨーヨー。

「えっ……?」

「取れた。やるよ」

「あ、ありがとう……」