【悠斗side】

今日は、緩奈と水族館に行く日。
柄にもなく、俺は少しだけ緊張していた。
いや、本当に少しだけ。

女と出かけたことなんてない。
ましてや、好きな女となんて……。

今日一日、俺の心臓は持つか……?

そんなことを思いながら、昨日緩奈と歩いた道を歩いていると、いつの間にか緩奈の家の前。

あいつは、門の前に――いない。
まぁ、いるなんて思ってないけど。

ピンポーン

呼び鈴を押すと、インターフォンから女の人の声が聞こえた。

『はい』

「緩奈さんのクラスメイトの、真崎と言います。緩奈さん、いらっしゃいますか?」

『はーい。ちょっと待ってね?』

声からするに、お母さんか?

しばらくすると、ガチャッとドアが開いた。

「いらっしゃい。緩奈、まだ準備中なの。リビングで待っててくれる?」

おばさんは、俺の母さんよりも若干若く、ふんわりとした髪が緩奈に似ていた。

多分だけど……緩奈はこのお母さん似だと思う。

緩奈のお母さんに連れられてリビングに入ると、そこには大学生ぐらいの男がいた。
アイツの兄貴か?

「母さん、誰? そのイケメンくん」

俺に気付いたのか、その人は俺を指差しながら言って来た。
なんか、ガキっぽい……?

「彰、誰って子供じゃないんだから……。緩奈の彼氏よね?」

そう言って、俺に尋ねてくるおばさん。
首を傾けるとことか、緩奈にそっくりだ。