「――水族館。行かねぇの?」

――あぁ!!!

「い、行くっ!!」

「忘れてた?」

「う、ん……」

図星をつかれて、言葉が詰まるあたし。
ごめんね、忘れてて……。

「まぁ、いいけど」

「あ、ここ!!」

気付けば、あたしたちは家の前にいた。
20分って短い!

「ここ、あたしん家!」

「へぇ」

普通に反応してるし。
なんかないわけ!? 『普通だな』とか、『住みやすそうだな』とか!!
どーせ、金持ちで高級マンションに住んでる奴なんかに分かるわけないけど!!

「……送ってくれてどうも。ってことだから、じゃあね」

嫌な予感がした。
だから話を切り上げて帰ろうとしたのに、悠斗に腕を掴まれた。

「な、なに?」

「送って来て、お礼それだけ?」

「はぃ?」

声が裏返っちゃったよ……。

あたしの腕を掴んだまま離さないし、顔は笑顔だけど、目が笑ってない!!

こ、怖いから!!

「えー……と、あたし、なにも出来ないから!! む、無理ムリ! うん」

顔の前で手を振り、頑張って否定する。
けど――

「言ったろ? 拒否権ないから」