「すいません遅れました!!」

悠斗があたしの頭を叩こうとした時、生徒会室の扉がバタンと開いた。
そこに立っているのは、ジャージ姿の男の子。
身長は、あたしと同じか少し高いくらい。黒い髪は短く散髪されていて。野球少年が少し伸びた感じ。
いたって普通って感じ。

「コーヘー遅い!!」

「ほんっとーにすいませんでした!!」

すごい剣幕で怒鳴るヒカル先輩に、深々と頭を下げるコーヘーくん。
あ、宏平くんってこの人か!!

「あれ? キミ、見ない顔だね。もしかして新入部員?」

「バーカ。俺らと同じクラスの中原だよ」

「中原? 中原なんていたっけ?」

呆れながら言う悠斗に、さらりとひどい言葉を吐いた宏平クン。
おいおい、知らなくても本人いる前で言うか、普通……。

「お前ら、揃ってほんとバカ」

悠斗の呟きがまた聞こえた。あたしもしかして地獄耳!?

「うっさい悠斗!!」

「まぁまぁまぁ落ち着いて。これからよろしくね、中原さん」

キラキラした笑顔でそういう宏平クン。
うん。いざとなって名字で呼ばれると、ちょっと違和感……。

「い、いいよ、緩奈で。みんなそう呼んでるし、違和感ある……から」

「あ、ごめんね!! 緩奈ちゃん」

なんか、あっさりしてますね。

どうやら、生徒会のメンバーはこれで全員らしい。

この学校、3年生は部活動に参加しないみたいで、2年のヒカル先輩、仁先輩、後藤先輩。そして1年の、悠斗、宏平クン。
そしてなぜか……

「どうせならさ、毎日通うなら生徒会、入っちゃえば?」

「いいじゃんそれ。女の子が増えて嬉しいし」

なーんて、ヒカル先輩の何げない一言で生徒会に入ることになったあたし。
よりによって、悠斗がいるなんて……。

神様、あたしを――助けてくださいっ!!