「そーいえば、コーヘーくんは?」
コーヘーくん?
「コーヘーなら、部活に顔出してから来るって」
ヒカル先輩の問いかけに答える仁先輩。いつもこんな感じなのかな?
「ねぇ、コーヘーくんって誰?」
あたしは、その『コーヘーくん』を隣に座っていた悠斗に尋ねた。
だって、聞けるの悠斗しかいないもん!!
「はぁ? お前バカ? お前の斜め前にいんじゃん。狭間宏平」
狭間宏平? 聞いたことないよそんな人。しかも、あたしの斜め前?
「誰それ」
「は!? お前知らねえの? 俺の前の席の奴。あ、お前いつも寝てるからか」
にやりと笑って言う悠斗。小バカにしやがって!! あたしにとっての悠斗はバカとアホでしかないのかー!!
実は悠斗、今あたしの前の席なんですっ!! 悠斗の前の席ってことは、あたしの斜め前ってことになる。
うーん、どんな人だっけ?
「……呆れた」
「う、うっさい!!」
ぼそっと言った悠斗の一言が耳に入り、悠斗に言い返す。
ホントムカつくなー、こいつ。
「で? その宏平クンも生徒会のメンバーなわけ?」
「分かってんなら聞くな」
ムッカー。分かってないから聞いたんだよ!!
この……
「変態クソ野郎め」
思ったことを口に出してしまうのが、あたしのクセらしく……
「おいお前、今なんつった?」
……また言ってしまった。
結果として、悠斗に頭を掴まれ睨まれているあたし。
誰か、助けて……。