そっと悠斗のネクタイを外し、シャツのボタンを外していく。
ひゃー。エロいことしてるな……。

どうか目覚めませんように! と、両手を合わせながら固く目をつぶる。

3番目のボタンまで外し、体温計を悠斗の脇に差し込む。

はぁ。第一段階終了。

しばらくして、ピピピッと鳴った体温計。そっと抜くと、画面表示は39度を示していた。

「39度かよ……」

こいつ、こんな状態であたしを助けに……?
もう、優しいのか意地悪なのか、全然分かんない。

「…んッ……」

「あ、起きた?」

「お前……なんで?」

熱を計ってしばらくたった時、悠斗が目を覚ました。
目をこすって、まだ眠そう。

「いきなり倒れたの。覚えてない?」

「……ない」

ボーっとしながら答える悠斗。
やっぱ、覚えてませんよね……。

「――ありがとな」

がっくり肩を落としているときに聞こえた、悠斗の声。
『ありがとな』って言った?

「へ?」

「だーから、礼! 助かった」

「べ、別にッ! さっき、助けてもらったお礼」

あー、あたしはなんて可愛くない奴なんだろ……。
そんなことを思っていると……

「緩奈?」