悠斗の香りに安心して、目を閉じようとしたその時、

ドサッ

悠斗が、あたしにもたれかかって来た。

「ゆ、悠斗!?」

ちょ、ヤバイよ路地裏で!!
だってあたし達、まだそんな関係じゃないじゃん!!

なに考えてのこいつ!!

なーんてことを考えていると、聞こえるのは荒い息遣い。

「ゆ、うと?」

あたしの肩に頭を乗せるように倒れ込んだ悠斗の額には、玉のような汗が浮かんでいた。

「え!? ちょ、悠斗大丈夫!?」

「……バカ。こんなの、平気だっつ――」

途中で言葉が切れた悠斗は、その場にうずくまるように倒れ込む。

あたしも道路に膝をついて、悠斗の額に手を当てると、

「あつっ!!」

ものすごく熱い。

こいつ、熱何度あるの?

「ねぇ、大丈夫?」

「――無理」

おいおい。あんたさっき、平気だって言ったよね?

「どうしよう……」

家が近かったら連れて行くところだけど、あいにくあたしの家は駅2つ分先。
いくら悠斗とは言え、病人をそこまで連れて行くまでヒマじゃない。

「とりあえず、病院?」

そう思って携帯を取り出した時、悠斗に腕を掴まれた。

「なに?」

「俺ン家、すぐそこだから……そこまで連れてけ」

……あんたね、病人だから許すけど、連れてけって命令かよ。