「なんか変だな……あたし……」

ゲーセンの入口の壁に寄り掛かりながら、独り言を呟く。

本当、変。

初対面の奴にキスなんてする、最低男にドキドキしてるなんて、絶対変。

そんなことを思っている矢先――

「か〜のじょっ♪」

え――?

「君、可愛いね☆ あ、それ泉の制服でしょ? いいの〜? 泉行ってるお嬢様が、こんなとこいて」

え゙?

「これからさぁ、お兄さん達と遊ぼうよっ♪ ねっ?」

え――。
これ――ナンパってやつですか?

「ちょっ、やめてくださいっ!!」

男2人に全力で抵抗しても、勝てるわけなくて。
あたしの目には、涙が溢れるばかり。

なんで、こんなことになるんだろう。高校行って、素敵な恋、したかっただけなのに……。

その瞬間、あたしの空いてるほうの腕が思い切り引き寄せられる。

へっ?

「きゃっ」

「俺の、手ぇ出さないでくれる?」

ゆ、悠斗!?

「ちょっ、あんたなに言って……」

「あ゙? お前さぁ、俺らのことナメてんのか、ゴラァ!?」

「俺ぁさー、そこのお姉ちゃんと遊びたいだけなんだけど」

うわ。超キレてるよ……! いくら悠斗でも、がたいのいい2人相手に、勝ち目なんてあるはずない。

「ほんっと、物分かり悪ぃな」

悠斗は、低い声で呟く。

聞いたことのない、とても冷たい声――。

「「あ゙?」」

「だーかーらー。こいつ、俺の女だから」