入学式も終わり、あたしは教室で考えていた。

「はぁ……」

入学式からため息ついて……。あたし、カッコ悪。

「ねぇ!! 緩奈ちゃんだよね?」

不意に声をかけられて顔を上げると、茶髪のかった髪色に、ゆるくパーマがかかったショートカットの女の子が立っていた。

なんか、『可愛い』子――。
美保とはちょっと違うタイプ。

「? どうかした?」

「あ、なんでもないっ! 緩奈だけど……」

「やっぱりぃ!? どんな子かなぁって、ずっと思ってたんだよね〜。想像通りでよかった♪」

想像通り……? なんだろこれは……。
喜んでいいのかな……?

「受験のとき、あたし隣に座ってたんだよ!?  あ、気付いてない? そうだよね〜、あ、あたし名前まだだよね? あたしは河西明菜。ちなみに、中等部からココに通ってるよ」

明菜ちゃんは、ハキハキした口調でどんどん話を進めて行く。

「あ、あのぉ……」

「あ、ごめんごめん!! メーワクかな? あたし、こーいう性格でさー。参っちゃうよねぇ」

「じゃなくて……あの、ひとつ、聞きたくて……」

「ん? なになにぃ? あたしに分かることなら何でも聞いてっ♪」

ハイテンションで話す明菜ちゃんに、あたしはひとつ質問をした。
さっきから聞きたかった、あの質問。

「あの、真崎悠斗って……どんな人?」