那智さんが、
そろそろ出演するというので
みんな一緒に、事務所を出た
重い扉を開くと、
一気に音が襲って来る
ステージだけ明るい
真っ暗な、観客席の内側
『 …結構広いね 』
急いでドアを閉めた
ヴォーカル、ギタリスト、
ベーシスト、ドラマー
制服を着たバンドが出て来て
お客さんも皆、友達みたいで
それとその、父兄みたいな人達で
前の方が埋まり、かなり盛り上がってる
でもそこから
後ろ半分くらいで見てるお客さんとは
少し、ノリが違いぎみ
終わった後、
観客席からステージに
女の子たちが駆け出して、
マイクを寄せられ
" 先輩!
卒業おめでとうございます!"って
花束を渡していた
ポップスロックな、その波に紛れて、
客席の後ろの方、
あまり目立たない場所へと
チラシなんかを持って、移動した
青山さんは、サングラスをかけてしゃがみ
アズさんはその横
私はまたいつの間にか
少し前に出てしまっていて
でも気がつくと、彼が横に いてくれた
那智さん達のバンドは
やっぱりトリというか、
…"CheaーRuu"を初めて見たときみたいな
ショックとか、
悔し涙が出てくるみたいなのは
全然なかったけど
トークとか、そういうので
客席を沸かせていて
なんか見てて、楽しかった


