甘い涙

 
 「絶対、めいと同じ高校へ行って、もっとめいの近くに居たいと思った。
 でも…めいのご両親が亡くなって、めいが、進学するのかも分からなかった。
 それで、笠松さんに頼んだんだ。
 めいが、高校へ行くように。
 めいが、高校へ行けるように。」
 さっき、笠松さんが言ってらした…。
 偶然と、杉崎くんの想いとで私の運命を導いてくれていた。
 「だから…ずっと好きだ…って言っただろう。」
 私は何度も頷く。
 今なら、杉崎くんが言った言葉の意味が理解できる。
 「7年間ずっと思ってきた。
 俺がもっと大人だったらって。
 めいを泣かせたくないって。
 めいと一緒に居たいって。
 今の俺があるのは、めいが居たからなんだ。」
 涙でぐちゃぐちゃになった顔を何度も振る。
 「めいに憧れてたのは俺なんだ。
 好きで追いかけてたのも、俺の方。
 めい、言ったよな、いつも俺が平常心で居るって、全然余裕で居るって。
 平常心なんかじゃないよ、好きで、好きで、どうしていいか分からなかったのは、俺なんだよ。
 だから、めいの事大切にしたかった。
 俺の隣で、ずっと笑っていて欲しかったんだ。」