甘い涙

 数学が全く分からないと送ると、明日一緒に参考書を買いに行こうと言ってくれた。
 ━う、嬉しすぎるぅ。
 顔が自然とニヤケてしまう。
 ━こんな事ではダメだー。
 両手で頬をパンと叩く。
 「さぁ、古典の暗記でもしよう。」
 テスト用ノートに要点などをまとめだした。
 
 杉崎くんと一緒に本屋へ来ていた。
 ものすごい数の参考書や問題集に、頭がクラクラした。
 パラパラと見てみたけど、どれもよく似た感じで、自分に合うものを見付けようと思うと至難のワザだった。
 杉崎くんは何冊か手に取り
 「どこが分からないの?」
 と聞いてくる。
 …どこがと尋ねられても…。
 考え込んだ私に
 「分からないところが、分からないんだ。」
 と笑いながら言われてしまった。
 「…はい…その通りでございます。」
 「うーん、だったら、これがいいと思うよ。」
 一冊選んで私に渡してくれる。