甘い涙


 告白されて浮かれていても、日常は普通にやってくる。
 学生の日常といえば…そうテストである。
 目の前の杉崎くん一色だったこの数ヶ月…。
 授業の内容など入ってくる訳もなく、私は焦った。
 赤点なんか取ったら…笠松さんに申し訳ない。
 この学校は、赤点を取ると親が呼び出されるのである。
 親=後見人の笠松さんだ。
 「少し現実に戻ってちゃんとしなくちゃ。」
 暗記ものは一夜漬けでもするとして…。
 問題は…数学である。
 教科書を見ても、問題集をしても、さっぱり分からない。
 もともと数学は苦手なのだ。
  ヴォー ヴォー ヴォー
 「…びっくりした…。」
 バイブにしてあった携帯がなった。
 ベッドで寝ていたももも、うるさいな、と言う顔をしてこっちを見たが、また丸くなってしまった。
 「ごめんね、もも。」
 ━杉崎くんからのメールだ。
 メアドを交換…気持ちを伝え合ってから毎晩メールをしている。
 私には、とても幸せなひと時だ。