甘い涙

 「…返事は?」
 と返され、私も真剣に返事をしなきゃ失礼だなと、考え込んだ。
 「俺のこと、嫌い?」
 哀しそうな声で聞く。
 私は慌ててしまった。
 「全然、全然、嫌いだなんて、とんでもない。」
 右手を思いっきり振る。
 ━嫌いなはずが…ない…むしろ
 「じゃあ俺の事、好き?」
 ━そう、好き。
 昨夜、切なくて、苦しくて、眠れなかったのは、杉崎くんの事が好きだから。
 私は、コクリとうなずく。
 「ちゃんと、めいの声で聞かせて。」
 私の頭上、真上から少しハスキーな声が言ってきた。
 ━恥ずかしい…。
 「…好き…です。」
 言うと同時に、抱きしめられていた。
 ━いい香り。
 私もおずおずと、杉崎くんの背中に手を伸ばした。
 心臓は早鐘のように鳴っていたけど、杉崎くんの腕の中はとても居心地がいい。
 人の体温がこんなにも心地いいなんて知らなかった。
 私はいろいろな想いが溢れ出し、泣き出してしまった。
 杉崎くんは、何も言わず、私が泣き止むまで抱きしめていてくれた。