甘い涙


 掴まれた左手が熱い。
 堤防の遊歩道、初夏の緑の中、バスに乗らず2人ゆっくりと歩く。
 桜の季節もいつしか終わり、今はつつじが満開に近い。
 白、ピンク、赤紫、色とりどりに咲き誇っている。
 人影もなくなり、静かになった所で私は思い切って聞いてみる事にした。
 「昨日の事、本気…なの…かな?」
 ━うー。ドキドキする。
 「本気だよ。
 冗談で告白なんてしないよ。」
 優しいけど真剣な声で言ってくれる。
 「何、冗談だと思ってたの?」
 少し傷ついた様に言うので
 「いや、そんなことは…。」
 私は口ごもってしまった。
 「俺、めいが好きだよ。」
 私の方を向いて真剣に言ってくれた。
 ほてった頬に、吹き抜けていく川風が気持ちいい。