図書室も教室同様ガラーンとしている。
今時本を読む人って、やっぱ少ないのかな。
入口から見回す限り、杉崎くんどころか誰も居ない。
━図書室じゃないのかな?
少しガッカリしながらも、気を取り直し、本を見て回る事にした。
図書館とまではいかないが、結構いろんな本が揃っている。
棚を3つ4つと見ていくと、向こう側の棚に、本の隙間から人影が見えた。
━ドキンッ。
心臓の音が一際大きくなる。
回り込み人影が居た棚に行くと、杉崎くんが本を熱心に読んでいた。
━居た。杉崎くんだ。
本を持って立ってるだけなのに、何であんなにカッコイイんだろう。
足が前に行こうとしてくれない。
話掛けようと思うのに、声が出ない。
杉崎くんが顔を上げ、驚いた顔で私をみた。
━ドクン、ドクン。
心臓、うるさすぎ。
まともに杉崎くんを見れなくて目が泳ぐ。
━深呼吸をして…。
「何か本、探してるの?」
読んでいた本を棚に戻しながら聞いてくれる。
私は首を振った。
碓氷くんに杉崎くんの居場所を教えてもらった事を言いたかったのに、呼吸困難で、
「…碓氷くんに…。」
とだけしか出てこない。
━口がまわらない。
「将一?将一がどうかした?」
不思議そうに尋ねながら、私に近付いてくる。

