甘い涙

 碓氷くんの声が遠く小さく聞こえた。
 ただ事じゃないと感じた杉崎くんは
 「保健室、連れて行く、後頼む。」
 と言うなり、自分のブレザーを私のスカートの上から巻き付けると、私を抱き上げ、保健室へと運んでくれた。
 私は揺られながら、杉崎くんのコロンノ香りに包まれ、心が安らいでいくのを感じ意識を手放した。