━2-5━
教室の中に足を踏み入れた瞬間…。
━うわぁー。━
何このクラス、有名人ばっか…。
━うそでしょう。
黒板に書かれた座席票通りに席を確認する。
私の前の席には…学校一超有名な〝杉崎 孔〝。
1年の時のクラスメイトほぼ全員がファンだった様な人で、毎日彼の情報がクラス中に溢れていた。
身長は180㎝。
モデルのように均整のとれた体型。
超キレイな顔で、芸能界からもスカウトの人が何人も来ているらしい。
アメリカからの帰国子女で、得意なスポーツはバスケ。
そして、成績は常にトップクラス。
ここまで完璧にそろってしまうと、嫉みの対象外となるようだ。
彼に関しての悪い噂を、未だかつて一度も聞いた事がないのである。
おそるべし、杉崎孔。
そのような彼が、私の前の席…。
何だか緊張する。
席に座ると、微かに良い香りがした。
杉崎くんが振り向き、
「これから、よろしく。」
とあのキレイな顔に爽やかな笑顔付きで言ってくれた。
言い忘れたが、この杉崎くん気さくで優しいという素晴らしい性格までしているのだ。
「━よろしく…━。」
妙な間を空けて、やっとそれだけ言う事が出来た。
キレイすぎるって圧倒される。

