「その子だよ。」 あたしが微笑んで云うと、翔はあたしから離れた。 「ならいいけど。…浮気したその時は、覚えとけよ?」 不敵に笑う彼にドキリと胸を鳴らす。 「………ずるいよ。」 「なにが?」 「翔はいつもあたしをドキドキさせてばっかり。」 「はぁ?そんなの当たり前だろ。男の役目なんだから。」 「ずるい。あたしだってドキドキさせたいよ…。」 あたしは翔のシャツの裾をきゅっと握る。