真っ赤に染まった地面。
辺り一面正に血の海。
その中に一匹狼を見つけた。
その狼は息を荒くして倉庫の壁にもたれかかって立ってた。
右腕を抑えているが、そこからは赤い液体がポタポタと流れ落ちている。
あたしはその狼にゆっくりと近づいてこう言った。
“…楽しかった?”
あたしがそう言うと狼は眉間に皺を寄せた。
“こんなに真っ赤にしてさぁ…”
あたしは周りを見渡してその状況に思わず笑ってしまった。
“テメェ…誰だ…”
狼が息をきらしながらそう言った。
“それにしてもこれ一人でやったの?どんだけ暴れたんだろうねぇ…ははっ”
あたしが笑みを零すと狼は、
“テメェ誰だ…”
また聞き直してきた。
“あぁ、あたし?そんなアンタに名乗るようなモンじゃないよ”
“……”
“アンタが名乗ったら教えてあげる”
“……”
“名乗らないんだったらあたしも名乗らない”
あたしはそれだけ言って歩き出した。すると、
“ま、…待てよ…”