注釈(場面が変わり。数日後、フミヨのバイト先の設計事務所へ栗矢はでかけた。)
栗矢「こんにちは、プリンターの修理に伺いました。」
設計事務所所長「やあ、久しぶり、プリンターの写りが悪くてね、あの子がいた時は調子はよかったけど、急におかしくなってさ。」
栗矢「今日は、戸永さんはお休みですか?」
設計事務所所長「昨日でやめたよ、また代わりを探さなくちゃね。」
栗矢「辞められたのですか・・・では機械の方を見させていただきます。」
ナレーション「フミヨが突然いなくなって、栗矢は急に寂しくなった。心の中の大部分をフミヨが占めていたことに、彼は初めて気がついた。」
注釈(栗矢はプリンターの修理が終わると、所長に完了の報告をして事務所を出た。場面は変わり、フミヨは実家にいた。)
ナレーション「そのころ、戸永フミヨは実家が営む喫茶店で働いていた。隣に住む主婦、川越がパートで働いていた。」
フミヨ「これで良いかしら、おばちゃん!」
川越「昔から隣に住んでいるから仕方がないけど、お店では川越さんって、名前で呼んでね、お客さんがいる時は必ず。このお漬け物は、こっちに入れてね。」
美子「お昼過ぎたら行かなくちゃね、後は頼むわよ富美ちゃん!」
川越「もうそんな時間かしら、急がないとお客さんが来るわ、富美ちゃんは筋が良いから上手に出来るわ。」
フミヨ「そうかしら、あらお客さんが見えたわ。」
美子・川越「いらっしゃいませ。」
注釈(作業用のライトバンが店の前に駐車して、二人がお店に入ってくる。フミヨが注文を取りに行く。)
ナレーション「フミヨは実家の手伝いをするうちに、このまま実家で働くのも悪くはないかと思った、だが心はまだ決まらないフミヨだった。」
注釈(場面は変わって夜の居酒屋で、栗矢が食事を取りに来ている。ビールを飲んでいるところに、いつものパスタが出てきた。)
ヒロミ「ねえ飽きない、いつもパスタで?」
栗矢「一人で食べるのはもう飽きたけどね、誰か一緒に食べてくれると良いけど。」
ヒロミ「彼女とは食べないの?なんなら私が食べさせてあげようか。アーンして。」
栗矢「彼女って?アーン」
ヒロミ「富美ちゃんよ、今日で終わりかもしれないわよ、聞いていないの?ハイアーン」
栗矢「味噌汁も呑みたい。」
ヒロミ「ウーン」