フミヨ「何か美味しい物を食べたい！」
栗矢「そうだね、何か食べようか。」
フミヨ「私、お肉が食べたい！お肉お肉！」
栗矢「焼き肉？牛丼？」
フミヨ「やっぱりハンバーグでしょう！」
栗矢「ハンバーグ？子供か？　よし！」
注釈（そう言うと栗矢は、１件の店の駐車場に、車を滑り込ませた。）
フミヨ「わぁ、着いた！なぁにこの店、うどん屋さんじゃない、お肉は？」
栗矢「ここの肉うどんが絶品でうまい、それに駐車場が広くて駐車停し易いし、あっ雨が降ってきた、早く店に入ろう」
フミヨ「夏の雨だから、ドシャ降りになっちゃった、アーアッお肉が・・・。」
（ゴロゴロ・ドドーン）
ナレーション「フミヨは、栗矢の正直で飾り気のない性格に安心感を覚えていた。東京という大都会に居る時は、田舎言葉を引け目に感じ、馬の息目を抜くような怖さや、スピードの速い生活に疲れていた。今は故郷に帰って来て、ゆっくりとした時間と、素朴な人間関係に安らぎを覚えていた。」

注釈（場面は変わり、翌日の居酒屋でフミヨと店員ヒロミが話しをしている。）
ヒロミ「それで栗矢さんは、何もしなかったの？」
フミヨ「うん、うどん食べて終わり、肉うどんが美味しいって言って、自分は天ぷら蕎麦を注文するのよ！あの性格は、どうかしている。」
ヒロミ「だんだん狼に変身するかもね。」
フミヨ「そうしたら容赦なく、顔面パンチを食らわしてやる。」
ヒロミ「私だったら、キン蹴りね。」
フミヨ「一発おみまいね！」
ヒロミ「とんでもない、何発も！」
フミヨ「スゴーイ！」
注釈（ヒロミはヒソヒソ話しのような仕草で、フミヨに耳打ちした）
ヒロミ「後で何度も何度もナデナデしてあげるけど」
フミヨ「もう、好きね。」
注釈（その時、ママよう子が出勤してきた）
ママよう子「おはよう」