ナレーション「栗矢は、何度もフミヨに会うのが不思議だった。人の縁とはこういう物なのかと、栗矢は思った。」
注釈(栗矢は、止めていた白いライトバンに
乗り込むと、そのまま走りだした。)
注釈(その日の夜は、フミヨに言われたとおり、栗矢は夕餉を摂りにママよう子の居酒屋に行った。)
(ガランガラン)ドア音を変える
注釈(栗矢は、ドアの音を気にしながら、店に入ってきた。)
フミヨ「いらっしゃい、栗さん!」
栗矢「今日は暑かったね、昼間の用事って何なの?」
フミヨ「それより、オーダーは何にする?ビール?」
栗矢「ママ!お任せで頼むよ。」
注釈(奥にいるママよう子に、大きな仕草で栗矢は注文した。)
フミヨ「あのね、実は子猫を拾ったの、私になついてとってもカワイイの、だけど大家さんに見つかって、どこかに連れて行かないといけなくなったのよ。」
栗矢「どうせ拾った猫だろう、また捨てしまえばぁ。」
フミヨ「可哀そうじゃない!それで、知り合いが欲しいって言っているのよ。だからお願い。」
栗矢「はぁ、じゃ、やっちゃえばぁ」
フミヨ「マナミの車は故障しちゃって、ダメなのよ、お願い!栗さんしか頼めないの。」
栗矢「僕の車で送ってくれって事、フーン」
フミヨ「お願い!ビール注ぐから、ネッ」
栗矢「ウンありがとう、ウムそれは当たり前
注だろう。」
注釈(いつの間にか、フミヨはビールを出して、栗矢のコップに注いでいた。)
フミヨ「商談成立!!サンキュウ助かった、やっぱり栗さんに頼んでよかったわ。」
栗矢「えっ・・・」
ママよう子「栗さん、もうデートに誘っているの?はい今日はオムレツにしたわ。中にパスタが入っているからね。」