「きりーっつ。姿勢、礼」
「「「ありがとうございました」」」
全員の気怠げな声が響く。
俺は教室から担任が出て行くのを確認してから席を立ち、行くのが習慣になった屋上へと足を向けた。
―――ガタッ…ガチャ
建て付けの悪くなっているさびれたドアを無理やり開け、屋上へと一歩踏み出す。すると…
「おはよ」
手すりに手をつき、向こうを見ていた姿が黒髪を揺らしながら振り向き、俺を見て微笑んだ。
「……さっきまで一緒にいたじゃん」
苦笑しながら近付き、隣に並ぶ。
「いいじゃん。言いたかったんだもん」
「…別いいけどさ」
教室にいたら、絶対に浮かばないような自然な笑みが思わず零れる。
「…………落ち着くなぁ」
どこか遠くを眺めながら永遠が呟いた。
「私さ、やっぱり雅のそばが一番落ち着く」
「………そうか」
「あれ?うれしくないの?」
「別に。……そんな当たり前のこと、今更言われてもな」
そう言ってチラッと永遠を見ると、一瞬驚いた顔をしてから
「自意識過剰」
「事実だからな」
「「………」」
顔を見合わせると、お互いにフッと笑ってしまった。
「あはははっ。雅って結構ナルシスト〜」
「寄ってくんだからしようがねぇ」
「なにそれイヤミー?」
わざと怒った顔をして睨んでくる永遠が可愛くて、思わず抱きしめたくなった。

