―――――…思えば、この時から雅は未来であんな事が起こると、
分かっていたのかもしれない。
…たとえ分かっていなくても
覚悟は決めてたはずだ。
大きな覚悟を。
なのに私は
自分のことしか考えてなくて、
自分のことしか見えてなかった。
たった一回きりだったけれど
あんなに真剣な顔をして
あんなに覚悟を決めて
震えながら言った雅の言葉を
本音を思いをまっさらな瞳を
信じきれなかった…。
時は流れる。
1日1日、止まることなく。
流れるごとに積み重なるは
憎しみか信頼か。
もとはたった1つの感情だった
2つの感情は
ゆっくりとゆっくりと
うねり、せめぎあう。
……どちらかが押しつぶされるまで。
歯車が軋む音に気づかず
絶対的な光しか見えていないか弱い兎は
近くない未来
絶望という闇に突き落とされる。

