心詩 ー モウイチド、モドレルノナラ ー





どくんどくんと痛いくらいに心臓がなる。

まさか、先輩と雅って……。


嫌な考えが浮かび、今すぐこの場から離れたくなって駆け出そうとする。

けれど

――ダンッ――


足がほつれて、階段を何段か飛ばして降りてしまい、思い切り大きな音を立ててしまう。


やば……―。

そう思ったのは2人の話し声が途切れたから。


せめて私だとバレないように逃げようと思ったけど


「永遠?」


不思議そうな雅の声が上から聞こえて、足を止めてしまう。


「なにしてんの?」

「………」

「雅、誰……って永遠ちゃん」


雅の隣で同様に先輩も不思議そうに、きっと泣きそうな哀しいような顔をしている私を見つめる。


「…………2人供、知り合いだったんだね」

それだけ、つぶやく。

…ちょっと嫌みっぽかったかな。


そう思ったけど、これ以上愛想良くするなんて絶対できない。


「あぁ…まぁな」


それだけ言って、2人は顔を見合わせる。

……なにソレ。

俺達言えない関係でしたみたいな?

どうするバレちゃったよみたいな?


あぁ……もぅ、最悪。


可愛くない自分がやだわ。

卑屈にしかなれない自分が嫌いだ。



――この場に重い沈黙が降りる。