心詩 ー モウイチド、モドレルノナラ ー







「遠慮せずに言うんだよ?」


またもやキラキラの笑顔で玲音さんはそう言った。


「はい。よろしくですっ」


ぺこっとお辞儀をすると、玲音さんは頷いた。


そしてお兄ちゃんにポンと頭を叩かれる。


「んじゃ、俺玲音達とちょっと用あるから。気を付けて帰れよ」

「雅が待っててくれてるはずだから」

「はい!ありがとうお兄ちゃん、玲音さん」

「おう。じゃーな」

「バイバーイ」


手をヒラヒラとふるお兄ちゃんと玲音さんに笑顔を返して、私は教室に戻った。


教室へ上がるとき、靴箱を通るからそこで雅の靴があるか確かめる。


「……あるじゃん」


待っててくれたんだ。

若干顔をにやけさせながら、階段を上がる。


けれどふと、足を止める。


上から声がしたきが―――。


2階で足を止めたとき、ちょうど背の高い女の人が逃げるように階段を降りてきた。
女の人は俯いていたけど、私の前を通るときチラッと視線だけあげた。


泣いてる……!?


女の人の目にはいっぱい涙が溜まってた。

どうしたんだろう?


そう思ったときだった。


「―――…お前のせいで…!!」


すれ違いざま聞こえた、あまりにも憎しみのこもった声に驚き、思わず振り向く。


するとその人は私を思いっきり睨んでいた。



“死ねばいいのに”

そんな思いをのせて。