心詩 ー モウイチド、モドレルノナラ ー




「お兄ちゃん!!」

「よー永遠」

「って、なんでこんなとこいるの?」


お兄ちゃんがここにいるわけがないんだけど…。


「俺が琉憂(ルウ)さんに言っといた」


そう言ってお兄ちゃんの後ろから顔をだしたのが


「玲音(レオ)さんっ!!」


いつも私が先輩に呼び出されたとき助けてくれてた3年の先輩。


「ちょうど永遠の様子見に行こうと思っててさ。そしたら玲音が永遠がまた呼び出されてって言ってきて」

「雅には言うなっつってたけど琉憂さんならいーかなって思って」


玲音さんがシルバーブロンドの髪をきらめかせながらにこりと笑う。


「ありがとうございます」


思わずこっちまで笑顔になっちゃう程の笑顔に見とれそうになる。


カッコイいなぁ‥玲音さん。


「――と、ゆうわけだ。散れ」


笑顔だった顔を一瞬で消し、まだいた女の先輩達に睨みをきかせる。


「――――ッ」


悔しそうな傷ついたような顔をしながら先輩達は去っていく。


そりゃ、玲音さんに嫌われたらキツいよな。

玲音さんに嫌われたってことは、この学校の男子ほとんど敵に回したってことだし。

去っていく後ろ姿に思わず同情しそうになる。


……危ない危ない。


「お前、また呼び出されたりしたら絶対玲音に言えよ?」


お兄ちゃんが心配そうに私を見る。


お兄ちゃんこと神夜 琉憂(カミヤ ルウ)は現在高1。

中学時代はこの学校のトップ的存在だったらしい。

燃えるような赤色の髪に切れ長の目。
どこをどうとってもイケメンだもんね。

そのお兄ちゃんが一番信用して頼りにしてるのが玲音さん。


この玲音さんが守ってくれてるから、私は表だった苛めはなく過ごせてる。