「永遠ってやついるー?」
放課後。
その一言に、帰り支度をしていた教室全体が静まり返る。
「また?」
深紅が隣で小さくため息をつく。
「これでもー何人目よ」
「さぁー…20は軽く超えたよね」
「あんた、なんでそんな他人事?」
「いや、なんかもーね。疲れた」
そう言いながらもガタッと音をたて立ち上がる。
中学に入って約1ヵ月が過ぎた。
けれども、平和な中学生活を望んでた私には、まったく好ましくないことばかり起きる。
教師には完璧に問題児のレッテルを貼られてしまった。
遅刻16回(雅のせい)。
服装検査不合格(全て違反)。
…イヤ、真面目にやってるんだよ?
―――それはまぁ、いいとして。
先輩からの呼び出しが20回軽く超えるってどうなの?
しかもぜんっぶ雅!
“雅くんとどんな関係?”
“雅くんの何?”
“雅くんとつき合ってんの?”
聞かれるたび、先輩が納得するまで延々と何の関係もなく強いていえば幼なじみであることを説明しなければいけない。
最初の頃はもー雅にチクろうかと思った。
先輩達はちょうど雅がいないとこを狙って私のとこに来るから、雅は私が雅のことで呼び出されてるのなんて知らない。
「お前さあ、雅の何」
この目の前にいるオネーサン達も、きっと雅がいないとこを狙ってきた。
…てか、この人何雅のこと呼び捨てしてんの?
知り合いでもないくせに。
雅はお前みたいな奴相手にしないっての。
「なんか言えよ」
目の前に立つ人の右側がそう言って私を睨みつける。
雅は知らない。私が呼び出されてること。
でも…。
まだ味方はいるんだ。私には。
「…おいテメーら。なにしてんだよ」
後ろから聞こえてきた低い声に、私は笑顔で振り向く。

