心詩 ー モウイチド、モドレルノナラ ー






――キーンコーンカーンコーン――


遠く、チャイムの音が鳴る。


「……鳴っちゃった」

「……ごめん」


雅はそう言いながらも、焦る気配はない。

…しょうがないなぁ。


「1時間目に間に合ったらいっか」


直線の道の向こうにある校舎を見つめて呟く。


「どーせ授業じゃないだろ」

「たぶん。…自己紹介とか?」

「うわ…だりぃ」


チラッと雅を見ると、心底イヤそうな顔。

まぁ知ってる人しかいないのに自己紹介するのもね…。


「てか永遠」

「なーに?」

「お前そんなスカート短くていいわけ?」

「あ…気づいた?」


スカートの裾をチラッとめくる。


昨日の入学式はちゃんと規則通り、ひざ下丈だったけど、今日は膝上10センチぐらい。


これでも抑えたんだけどなー。


「上がうるせーぞ、絶対」

「だと思う」


そう言うと、雅は呆れたようにため息をつき、


「…ったく。なんかあったら言えよ?」

「……うん」


雅にバレないように、ニヤける。


絶対そう言ってくれると思った。