抜けるような青空に映える満開の桜の木。
私達を祝うように照るお日様と暖かい空気。

私達が中学生としてのスタートをきるのにはこれ以上ないくらいの絶好の日。



なのに。


「ちょっと雅!!いつまで寝てんの!?」

「……んー…」

「入学式!遅れるよ!?」

「………休む」

「あ゙!?」

「………起きるから」


そう言って、目をこすりながらもぞもぞと起き出す雅。

ほんっと朝弱すぎ。


身体半分起こして、まだボーっとしている雅に私は顔を近づける。


「なに寝ぼけてんの」

「……永遠…」

「なに?」

「ちゅーして」

「………」

「してくれたら、起きる」


…こんっの自信過剰王子が。


「寝言は寝てから言えっ!!!!!」


私は思いっきりベッドから雅を引きずりおろす。


――ガタンッ――


……………。


大きな音を立てて落ちたにもかかわらず、顔を伏せたまんまで何の反応をも示さない雅。


「………みや」


び?と私は顔を覗き込もうとした。

すると、バッと雅が顔を上げ、その瞬間ほっぺたに柔らかい感触が伝わる。


「―――――!」


慌てて離れようとする私を雅はさらに力を込めて、抑え込む。


「おはよ、永遠」


間近でそう囁かれて、一気に熱が顔に集まったのが分かった。


「……顔真っ赤」


ニヤリと笑う雅を、嬉し恥ずかしでもうまともに顔を見れない。


なんなのコイツ。

私を死なせたいの?マジで。